相続人の中で相続財産の維持や増加に特別の寄与や貢献をした人(寄与者)がいる場合に、寄与者をその他の相続人と同等に取り扱って相続分を決めると不公平が生じる場合があります。民法は、このような場合に、寄与者の行為の評価額(寄与分)を考慮して相続財産の分け方を決めるとしています。
例えば長男が、お母さんがマンションを購入する際、その購入資金としてまとまったお金を出した場合、その行為によってお母さんの財産が増えたといえます。
また次男が寝たきりのお父さんと同居して24時間介護し続けた場合、そのおかげでヘルパーさんを雇わずに済み、その分、お父さんの財産が減るのを免れたといえます。
この寄与分が認められるためには、特別の寄与である必要があります。
例えば、月に何度か病床の親のお見舞いに行ったというような場合は特別の寄与とは認められません。
① 寄与行為があること
② 寄与行為が特別の寄与と認められること
③ 寄与行為によって相続財産の維持または増加があること
寄与分が認められる場合の具体的な算定方法は,まず相続財産からその相続人の寄与分を差し引いたものを本来の相続財産とし(みなし相続財産といいます)、そのみなし相続財産を基礎に各相続人の相続分を算定します。この相続分に寄与分を加算した金額が寄与した人の最終的な相続分です。
1 | 相続財産 - 寄与分相当額 = A(みなし相続財産) |
2 | Aを基礎に各相続人の相続分を算定 (民法で定められた相続をご覧ください) |
3 | 2で算出された寄与分のある人の相続分 + 寄与分相当額 = 寄与した人の最終的な相続分 |
寄与分があると主張する相続人がいる場合には、まずは相続人間で話し合いを行います。 話し合いで解決がつかない場合は、基本的には家庭裁判所に寄与分の調停申し立てを行い、調停でも話し合いがまとまらない場合は裁判所が審判で決めます。